KPIツリーの特徴や作成方法|コールセンターや人事労務担当者向け事例も紹介
KPIツリーの特徴や作成方法とは?
確認すべき注意点もあわせて紹介していきます
KPIツリーとは、最終目標達成のために必要な行動を数値化・可視化したものです。
組織や企業の成長には欠かせないものだといっても、過言ではないでしょう。
「目標のためにどのように動いたらいいかわからない」「チームがバラバラの方向を目指している」という問題がある場合は、KPIツリーの導入がおすすめです。
しかし、「そもそもKPIが分からない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、KPIツリーの特徴や作成方法について、注意点とあわせてご紹介していきます。
KPIツリーは、組織や企業にとって地図のようなもの。
ゴールを見失わないためにも、自分たちでしっかりと道をつくっていきましょう。
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KPIツリーとは
KPIは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要達成指標」「重要業績評価指標」と訳されます。
KPIは、事業成功のカギを数値化したものです。
似たような言葉に「KGI」「CSF」があるので、それぞれの関係を整理してみましょう。
- KGI(Key Goal Indicator):「重要目標達成指標」を意味し、事業成功の指標のこと
- CSF(Critical Success Factor):「最重要な要因」で事業成功のカギとなる
- KPI(Key Performance Indicator):最重要な要因を数値化したもの
【①KGI】を達成するための重要なプロセスが【②CSF】となり、
【②CSF】を数値化したものが【③KPI】です。
この【KGI】を頂点にし、【KPI】をツリーのように設置したものを「KPIツリー」といいます。
ツリーの末端にあるKPIから達成し、最終目標であるKGIの達成を実現していきます。
KPIツリーを作成する意味
KPIツリーを作成することは、企業にとってどのような意味があるのでしょうか。
KPIの目的は、従業員全員が数字を意識し、企業目標の達成のために迷うことなく行動できるためのものです。
KPIツリーは目標達成の行動を数値化しているため、今まで抱えていた課題が可視化され、解決に導く可能性があります。
「契約がとれない」「売上目標が達成できない」のような課題がある場合、従業員は「何をどうすれば契約がとれるのか」がわからないことが多いでしょう。
とくに経験が浅いスタッフは、「とにかく頑張って」と言われても、何を頑張ればいいのかわからず、目標を達成できないままになります。
KPIツリーを導入すれば、「何を・どのようにすればいいか」が明確になり、経験の浅いスタッフでも理解しやすく、具体的な行動にうつせるというわけです。
また、現場レベルまで数字に責任をもつため、当事者意識が高まり、事業や会社全体の促進・成長が期待できます。
KPIツリー作成前に確認したい注意点
企業の成長にもつながるKPIツリーですが、作成する前に以下の3つの点に注意してください。
- 単位まで細心の注意をはらう
- 遅行指標(結果指標)と先行指標では内容が違う
- 同じ要素を含まないようにする
ひとつずつみていきましょう。
1.単位まで最新の注意を払う
KPIツリーの各要素は、単位をそろえる必要があります。
それぞれの単位が異なれば、四則演算が成り立ちません。
KPIツリーを作成する際は、単位も一緒に記載していくといいでしょう。
2.遅行指標(結果指標)と先行指標では内容が違う
KPIツリーを作成する際は、遅行指標と先行指標に気をつけましょう。
■遅行指標:あとからついてくる指標のこと
■先行指標:先にあらわれる数字で遅行指標につながる
ツリーの末端にあるKPIの積み重ねが、KGIに近いKPIとなります。
そのため、ツリー末端のKPIは「先行指標」、最終目標であるKGIに近いKPIが「遅行指標」となっているか、確認が必要です。
3.同じ要素を含まないようにする
原則的に、KPIツリーには同じ要素を含まないようにします。
似たようなKPIの設定は、生産性や効率を下げてしまうので、例外を除いてKPIが重複しないようにしましょう。
2ステップで簡単!KPIツリーの作成方法
KPIツリーは、2つのステップで簡単に作成できます。
①KGIを設定する
まずは、KPIツリーの要素を設定する前に、最終目標であるKGIの設定からはじめましょう。
②KGIを分解しながらKPIを設定する
KGIを頂点においたら、必要な要素を分解していきます。
最初は大きく分解し、徐々に細分化していきましょう。
要素の分解に困ったら、「What?」「Why?」「How?」を考えて分解をしていきます。
「What?」・・・何を向上させるのか?
「How?」・・・どのように向上させればいいのか?
「Why?」・・・なぜ向上できないのか?
シミュレーションで確認をしてみよう
それではKPIツリーの作成方法を、【コールセンター】を例にシミュレーションで確認していきましょう。
まずは、最終的な目標であるKGIを設定します。
ここでのKGIは、「応答率の向上」で考えてみましょう。
KGIを設定したら、次にKPI項目を設定していきます。応答率の向上のためには、「応答率」「放棄率」「サービスレベル(SL)」「平均応答速度(ASA)」などのKPI項目があります。
応答率は「対応できた受電数÷総着信数×100」、放棄率は「放棄呼÷総着信数×100」で算出可能です。
サービスレベル(SL)は「設定時間内に受電した数÷総着信数×100」、平均応答速度(ASA)は「受信時の待ち時間の合計÷総着信数」で算出できます。
このように、一つひとつを分解してKPIを設定していきます。
要素の関係性を四則演算で表にしたら、具体的な数値を記載していきましょう。
人事労務担当者のKPIツリー事例
人事労務担当者は、KPI設定をどのように行えばいいのでしょうか。
「人材採用」「人材配置」「人材育成」の3つの観点からみていきましょう。
【人材採用】
「採用数」をKGIと設定した場合、そこから応募者数や内定辞退率を設定していきます。
- 採用者数
- 内定辞退者数
- 応募者数
- 求人サイトからの応募者数
- 自社ホームページからの応募者数
- 平均在籍期間
【人材配置】
人材配置には、目標達成率や配置への満足度を設定し、ミスマッチを起こさないようにしましょう。
- 目標達成率
- 配置への従業員の満足度
- 配置へのマネージャーの満足度
【人材育成】
人材育成は、研修にかかったコストや研修への満足度、資格取得数などを設定します。
- 1人あたりの研修コスト
- 研修満足度
- 研修参加率
- 資格取得数
- 研修実施数
まとめ
KPIツリーの特徴と、作成方法についてお伝えしました。
KPIは、目標達成のために必要な行動を数値化したものです。
目標達成までのプロセスを分解して図にしているので、どのような行動をとるべきかが理解しやすくなります。
そのため、業績アップや業務改善が期待できます。
最初は要素の設定や分解に慣れず、作成までに時間がかかるかもしれません。
作成をしたら運用をしてみて、定期的にチェックしながら修正をしていきます。
チームや企業目標のために、KPIを導入してみましょう。